犠牲者タイプの人にとって、愛とは人のために犠牲になったり捧げたりすることです。
おそらく成長する過程で両親が自分にどれほど尽くしたか、そしてそれと同じだけの見返りをどれほど期待しているかを叩き込まれたのでしょう。
この人にとって愛とは、ただ面倒なだけのものです。
というのは、愛情を表現するためには、常にしたくないことをし、したいことを諦めなげればならないと思っているからです。
このタイプの人は、自分がなりたいと思っているものには決してなれません。
というのも、それはわがままだと思い込んでいるからです。
この人にとって、与えるということはいつでも有償の行為であり、おなじだけの見返りが必ずついてまわるものなのです。
自分が愛情を捧げた相手が、同じように辛い犠牲を払って何かお返しをしてくれることを期待しています。
「私はあなたのために尽くしたのだから、あなたも私に尽くしてほしい」というわけです。
この人にとっては苦しみこそ美徳であり、真実の愛のシンボルなのです。
このタイプの人は、愛と人間関係に課した重荷を軽減することを学ばなくてはなりません。
いままでに積み上げられてきた、親や他人に対する抑圧された怒りや憎しみをまず癒しましょう。
そして、「つらい自責の旅」を自らに課したことを広い心で許さなくてはなりません。
愛を惜しみなく与え、見返りに同じような犠牲を払ってもらうことを相手に期待しないようにすることが必要です。
と同時に、常に自分自身の要求や欲求は諦めずに持ち続けることも大切です。
なぜ私たちは自分自身を完全に愛せないのか、その理由のいくつかを明らかにしてきました。
次に、なぜ私たちは、パートナーや親しい人たちに対して愛情をはっきりと表現できないのか、その理由を考えてみましょう。
愛が表現されないことで私たちの人間関係にいったいどんなことが起きるのかを見ていくことにします。
恋に落ちることはかんたんです。
けれど、その恋をずっと続けていくことはとても難しいですね。
にもかかわらず、私たちはみな愛が続いてほしい、ずっと幸せでいたい、と願っている。
結婚を決意した男女が、「ねぇ、君。ずっと考えてたんだけどさ、結婚して二、三年は楽しくやろうよ。それからお互いにウンザリしたら離婚しようぜ、どうだい」とか「あなた、五年間一緒に暮らして、素晴らしいセックスライフを楽しみましょうよ。」
「それから喧嘩して、いがみ合い、何回か不倫してから別れましょう」などと、フィアンセに向かって言うはずはありません。
恋をしている人は誰でも、はじめから「この恋もいつかは終わる」などと予定したりはしていないのです。
けれど恋はいつか終わり、そうなった時に私たちは深く傷ついてしまいます。
アメリカでは、なんと結婚しているカップルのおよそ二組に一組が、最終的には破局を迎えています。
たとえ結婚生活を続けているカップルでも、離婚こそしていないものの、愛し合っていなかったり、幸せではなかったりする場合が、かなり多くあります。
この統計を見ると気が滅入ります。
この数字はつまり、結婚するつもりでいるなら、離婚する可能性も50パーセントはあるということを示しているからです(もしこれを読んでいるあなたが、すでに結婚していたり、そういう関係の相手がいるなら、この不愉快な予想があなたにも当てはまることになります)。
ひどいカードをつかむギャンブルを、わざわざすることはありません。
50パーセントの確率でスってしまう可能性があると言われては、取引に投資したりはしないでしょう。
しかし、たいていの人は、うまくいかない50パーセントに入ってしまわないようにどうするかなどと考えているひまもなく、運命の人と恋に落ちてしまう。
どんな人間関係であれ、それがかならず長続きするように保証してくれる手だてはありません。
けれど、少なくとも今の恋を持続する術を身につけることはできます。
その「成功している」50パーセントの関係について、もっとよく見てみましょう。
立ち止まって、自分にこう問いかけてみてほしいのです。
「うらやましいような関係を続けているカップルを、いくつぐらい知っているだろうか」もし、あなたが人並みの関係しか築いていないのであれば、「よい関係」の例をたくさん挙げることは難しいことでしょう。
結婚しているカップルの、実に40パーセントから70パーセントは配偶者に満足しておらず、不倫経験があります。
しかも最近の調査では、収入が高ければ高いほど、不倫が頻繁になっているとのこと。
この統計から、お金は結婚生活の幸福のカギにはならないことが明らかです。
ご戸建て、マイカー二台、幸せな家庭というアメリカンドリームは、破局に終わることがあまりにも多いのです。
人間関係で我慢をしている人は、自分の問題を見つめることさえできません。
自分たちが満足してはいないということを認めようとしないし、相手にも認めさせないのです。
本当は怒っていたり悲しかったり、相手に無関心な時でも、幸せそうなふりをします。
真実を見つめることはもっとつらいので、表面を繕わなくてはならないのです。
解決方法がないから、自分の問題を見据えることが怖い。
だから、心の中ではずっと死んでいても、表向きの関係を維持するのです。
もう自分を愛してくれない人や、もう愛せなくなった人の隣で寝ることほど、寂しいことはありません。
あなたは、友人が離婚したり別れたりしかかっていると聞いて、驚いたことが何度あるでしょう。
表面上は何もかもうまくいっているように見えて、その実、愛が失われていることは多いのです。
「愛はいつかは終わる」という根も葉もない神話ほとんどの人は、愛情や人間関係の問題の本当の解決法がわからず、法の中から一つを選んで、この問題に対処しています。
第一の選択肢はもちろん、問題を無視して、いつか自然に解決するのを期待するという方法です。
次に、「完全な」人間関係などなく、それ以上のものを望むのは、幼稚で非現実的だと自分に言い聞かせる方法もあります。
また、すべてを相手のせいにしてしまうこともできますし、いまの相手とさよならして別の相手を見つけるという方法もあります。
なかには対立や問題を避けようとして、次々に相手を変える人もいますが、それでは一から同じ問題にぶつかるだけでしょう。
別れるというリスクを冒すよりは、いまの関係にしがみついたままのほうがましだと考えて、諦めてしまっている人もいます。
もしあなたが諦めてしまったばかりの人だとしたら、この本を読めば、愛のない生活を受け入れるのではなく、自分の問題を見つめ、解決する勇気がわいてくるでしょう。
多くの人たちが、「愛はいつか終わる」と思っています。
たとえばあなたが「あの人のことは好きだけど、もう恋してはいないんじゃないかしら」と思い、誰かに相談したとしましょう。
不幸なことに、このような相談に対し、家族や友人や、心理学者でさえ次のように答えるでしょう。
「子供みたいなことを言うもんじゃない。現実を直視するんだ。」
「燃えるような恋なんて長続きするものじゃない。交換条件なのさ。」
「情熱を犠牲にして、安心を得ているんだ」けれど、一般的に信じられているのとは反対に、愛も恋愛も長続きさせることができるのです。
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